ナナコのこと

おれの恋人はナナコという名前だ。おれはどこへ行くにもこいつと一緒だった。近場のコンビニにさえこいつと出かけた。
ナナコは寡黙だった。しかしおれはこいつといると不思議に心強い気分になることが出来た。いわゆる「サイフ」と呼ばれるやつなのだろうか。会計時に無類の強さを発揮する。おれは常にナナコの会計に頼ることにしていた。
そんなナナコもついこの間、悲鳴を上げた。チャージが切れたのだ。10000円分の短い命を全うしたナナコ。ありがとう。君はすごく綺麗だったよ。またチャージしよう。