布巾女子について書いてみる

布巾女子の同僚の女の子が布巾女子と対極的な見た目なのである。
スイーツで例えると、布巾女子が食パンで対極的な女の子がマロングラッセ
ふさふさとしたポニーテールが夕陽に輝くとき、温かい夕食のある素敵な家庭が浮かんでくるのだが、布巾女子の結んだ髪の毛はちらとも揺れず、まるで学校の掃除用具の毛先の短い「モップ」と呼ばれていた器具を連想させる。
その硬そうな毛先は断固として男を寄せ付けない籠城であるかのように思われる。
化粧も対極的だ。
甘めの茶色の髪の毛に似合うような、ほんわかした印象の化粧。全体がピンクっぽく、それでいて何がピンクなのかわからないような不思議な化粧。
対する布巾女子は……、特に化粧について述べたいようなことはあまりない。とにかく結んだ髪の毛の先が、寿司屋のよく好んで用いる「バラン」という不思議な器具のようにチクチクしそうだということだけだ。
くさしているように思われる方がいるかもしれないが、これは本当のことなのだ。
そんな布巾女子とマロングラッセ女が一緒にバイトしている姿は壮観である。
清潔感と甘ったるい感傷がないまぜになったような不思議な光景。
そんな喫茶店で僕は日々何か起きないか!と目を光らせているわけなのだが……。
今のところ特になにも起きない。マロングラッセ女が時々制服の真っ白のワイシャツをボトムスの中にしまうのを忘れたらしく「ダラーン」と垂らして仕事していた、という本当にどうでもいい情報が得られたのみである。
この二人は当たり前のことかもしれないが、非常に仕事ぶりも健全で、非の打ちどころなし!といったところである。
彼氏が職場に駆けつけてきて、「おい! おれのロトシックス今日が抽選日なんだよ! どこ探しても見当たらねえ。あれがないと今週のパチンコ代が……」とかいう展開は、今のところない。