不思議な遺恨

しつこいけど、「マッシュアップ」の話を続ける。
おれは最近しんどいことは多々あれど、「落ち込む」ことはあまりなかった。
しかし、先日の「マッシュアップ」事件は異常なまでにおれを落ち込ませ、不思議な遺恨を心に残すことになった。
確かにおれは多少滑舌の悪いときがある。あまりにも人と接する機会がなさ過ぎて、言葉の発し方を一時的にせよ、忘れてしまうのである。
これはおれの生活の状況からして仕方ないことだし、こういう経験は誰しも多かれ少なかれあるのではないか、とおれは思っている。誰も一人でいたことのない人などいないだろう。
ところが、先日の店員は、微塵もそのような情のかけらさえ見せない態度でおれを切り捨てた。あっさりと、大根のしっぽを切り落とすような勢いで捨てられてしまったようだ。
何に落ち込んでいるのかよくわからない。実生活に慣れていなさ過ぎて、落ち込む経験に馴染んでいない、というだけのことならいいのだが、普段そうそう落ち込むことのないおれだけに、何か根本的な間違いが起こっていなければいいのだが、と思う。あの若かりし店員さんに幸あらんことを……。