才能のなさを知る

 皆さんがどうかは知らないのだが、おれの場合、才能のなさについて語るのは非常に楽しい行為である。

 というのも、才能のなさについて語る方が才能の存在について語るよりも幾分気楽な行為だからである。

 考えてみればすぐにわかることなのだが、才能について語りだすと、不安になったり、自己弁護的になったりするのが人間の常なのだ。

 したがって、才能のなさについてさらっと語れるようになると、随分肩の荷が下りたような気になるというか、身体が何キロか軽くなった気がするものである。