カラオケボックスから見た年末の風景

 おっさんとカラオケに行った。

 そのカラオケボックスから見える年末の風景は何故か物悲しく、それでいて、不思議に胸膨らむものであった。その全容を語ろう。

 待ち時間におっさんと語らう時間があった。予約して行ったにも関わらず、僕らは結構な時間待たされた。その待ち時間におっさんが最近彼女と別れたことを知ったのであった。

 おっさんと恋愛。これほど甘酸っぱく不思議な感情になる組み合わせもあるまい。そこでおっさんは一つの恋愛観を提示してくれた。

「恋愛関係がきちんと続くためにはお互いの努力が必要」

 なんと切ない言葉だろうか。おっさんは自分がフラれたのが努力不足と思っているのだ。おっさんと恋愛に関する努力。これほど切ない組み合わせもない。これだけで年末の風景が物悲しく見えたことは明らかだろう。