おっさんとカラオケ

 年末の某日。

 濡れそぼつ雨の中、二人の男は駅のホームからカラオケボックスへと足を走らせた。

 カラオケボックスはおっさんによって予約済みである。

 用意周到なおっさんと二人カラオケボックスへと向かう。

 おっさんとは言え、僕と8歳差の40歳。

 あなどれない。きちんとカラオケボックスが予約可能だということも知っている。

 そもそも、8歳差の方を「おっさん」と呼ぶなら、僕も「おっさん」と言えなくもないわけで……。

 複雑な気分で受付へと向かう。

 受付で「ビールは飲みますか?」と訊かれたらしく、「ビール要らないよね?」と僕に確認してくるおっさん……。

 ビールも飲まずにカラオケに熱中しようとしているおっさんが二人。窓から見える年末の風景が殊更に煙って見えた。