Hさんとミスチルカラオケに行くことになったきっかけ

 ひょんなことからとある年配の方Hさんと親しくなった。

 親しくなったいきさつについてはここでは割愛する。とあるきっかけでHさんとカラオケに行くことになった、そのいきさつについてここでは述べてみたい。

 カラオケに行くことになった直接の原因というか、縁を作ってくれたのは、僕が永年愛好してやまない日本のロックバンド、ミスターチルドレンであった。僕はこのバンドの曲はほとんど暗記しているし、歌詞もほとんど覚えているくらいファンなのだが、あまりファンであることを公言してこなかった。

 一つには、好きすぎて誰かと分かち合うにはあまりにも僕のミスターチルドレン愛が深すぎるからだし、やはり、ファンというものは、それぞれ孤立した地点で、静かにその曲を味わえばいいと思っているからだ。

 実際、僕は一人で風呂に入るときなどに、頻繁にこのバンドの曲を歌っているし、よく聴いているのだが、カラオケで歌ったり、ましてや人前でファンであることを公言することになるとは露ほども思っていなかった。

 かなり密室的なファンと言うべきなのだろう。しかし、Hさんとよく会話するようになり、また、Hさんのミスターチルドレンに対する愛着が、かなり粘着質なのを知るに至って、ようやく僕も、他人に対してこの性癖を明かしてもいいと思ったのだった。

 幸い、どんなにマニアックな知識を披露しても、Hさんはまるでひるむことなく僕のミスターチルドレン愛を受け止めてくれて、今回の二人ミスチルカラオケ開催へと漕ぎつけたわけである。